どこでもゴハン、ふたつのゴハンaka Greetings from London 


こんにちわ。日本ではもう「こんばんわ」の時間ですね。ロンドンからはじめての投稿です。今年の3月末から一年間のサバティカルで、草枕の日々を愉しませてもらっています。 この半年、ロンドン市内、UK国内、そして欧州内、と大小の移動を繰り返し、住む場所も、耳に聞こえる言葉もずいぶん様々に変わりました。いくつかの仮の住まいと旅先を、トランクひとつで、行ったり来たり。変化の多い、そしてモノの少ない暮らしを続けきて、いま実感しているのは、この体がどこにあっても、ふたつのゴハンが生活の基本だという、とてもとてもシンプルなことです。

ふたつのゴハンとは、体のための食べ物と、頭とこころのための食べ物である本、Food & Food for Thought。後者については、大学では英語圏の文学と文化を担当していますから、仕事とも直結。この放浪の日々、仕事を再開する来年の春への充電期間でもあるようです。帰国はもう少し先のことですが、まずはそれまでの間、二つのゴハンを糸口とする徒然バナシを中心に、時々便りを送ります。違う風土や文化のもとでの暮らしの様子を伝えられればいいな、と思っています。12月にはまた少し旅をし、1月末にはカリブ海のジャマイカ、キングストンに拠点を移す予定。その時には、ここロンドンとはずいぶん違う空気のなかでの話をお届けできることでしょう。


そうそう、二つのゴハンといえば、ここUKでは食品と本は消費税の課税の対象外になっているのをご存じでしょうか。現在、VAT(Value Added Tax=付加価値税)というUKの消費税は17.5%。日本に比べると、とんでもなく高率ですが、体と頭のための滋養は、人が暮らし、次の世代が育っていくのに最低限必要なものと見なされ、課税から守られています。(もうひとつ、子供服にもVATはかかりません。)そもそも日本の消費税は世界のなかでもきわめて低率。消費税値上げ反対と、反射的に思う前に、何にどのように課税され、また税金がどのように使われるのかをよく考えてみないといけないのでしょう。(図は消費税の国際比較。画像をクリックすると大きくなりますので、数字見てみてください。)


それではUKが、パンのみでは生きてはいけないニンゲンという動物が暮らしやすい賢い社会かというと、そんなに理想的ではないのが現実。ご存じのとおり、今年5月に誕生した連立政権は、欧州最悪の財政赤字に取り組むために、未曾有の歳出削減計画を打ち出しています。一連の削減計画、反対派からは「無謀」、「残酷」、「戦後最大のギャンブル」と評され、消費税は来年1月には20%に。そんななかでも、二つのゴハンと子供服は課税から守られるようですが、大幅な歳出削減は市民生活のあらゆるところに影響を及ぼします。教育分野も例外でなく、大学の学費は最大現在のほぼ3倍になると見込まれています。11月11日には、ロンドンでの抗議デモに5万人の学生が集まりました。一部の学生たちが保守党本部のガラスを割って内部に乱入し、保守党本部の機能がマヒするという一幕もありました。明日24日には、二回目が予定されており、ロンドンの様々な大学の学生が授業をボイコットして、ウェストミンスターまでデモを行うそうです。わたしがここの学生だったら、間違いなく、今頃は明日のためのTシャツや看板作りに精出しているでしょう。


いきなり税金や抗議デモのハナシになってしまいましたが、さて、こちらはそろそろお昼。少しお腹がすいてきました。中華街で買ってきたヌードルでも作りましょう。と、冷蔵庫を開けたらちょっと匂います。消臭剤がいるみたい。'fridge freshener'とでもいうのかしら?(と、調べてみたらOKのよう)日常品の英単語、これがけっこう苦労します。あまりに日常的な単語であるだけに、ちょっと表現が違うと相手が一瞬とまどうのです。一昨日も、寝室用の整理箱が欲しくて、インテリアショップで「baskets and boxes for storageはどこ?」と聞いたら、お洒落な店員さん、一瞬、ぽかんとして、「おおstorage boxのことね。Lost in translationだわ!ごめんなさい。東京行きたいな」と笑っていました。Lost in Translation.ソフィア・コッポラ監督の東京を舞台にした映画です。7、8年前の作品だったでしょうか。英語圏のちょっとクールを自認する20代、30代にはいまだに人気があるようです。あの映画の中、新宿の街で、登場人物たち何食べていたかなあ、と思い出しながら、そして明日の大学構内はどんなだろう、と思いながら、今日はこのへんで。Cheers

 

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